理由通知の内容 原告は,平成13年12月4日,特許庁審査官より本件拒絶理由通知を 受けた。
これには「請求項1に記載の発明は組成物に係る発明と認められ るが,各成分の配合量(組成比)が記載されていない(すべての配合量 (組成比)について同等の効果を奏するものとは認められない)」として, 特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件を充たして いないと記載されていた(乙2)。
ウ本件補正 本件拒絶理由通知に対し,原告は,平成14年2月4日に本件補正書を 提出し,当初明細書の特許請求の範囲【請求項1】に構成要件Bを加える などの本件補正をした(乙3)。
また原告が同日提出した本件意見書には 発明の効果に係る説明として,段落【0055】と同じ記載があるほか, 本件拒絶理由通知に対する意見として以下の記載がある(乙4)。
「審査官殿は,『請求項1に記載の発明は組成物に係る発明と認められ るが,各成分の配合量(組成比)が記載されていない(すべての配合量 (組成比)について同等の効果を奏するものとは認められない)』との ご認定である。
これに対して,本意見書と同日付けで提出する手続補正書による補正 後の請求項1の記載では,既述のように『熱伝導性無機フィラーが熱伝 導性シリコーンゴム組成物全量に対して40vol%〜80vol%』である 点で限定されているので,請求項1に係る発明は明確になったものと思 - 56 - 料する。
」 エ検討 (ア) 上記認定のとおり,構成要件Bは,本件拒絶理由通知を受けた本件補 正によって,後から加えられたものであるところ,本件拒絶理由通知が 明らかにするように求めている「各成分の配合量」とは,当初明細書の 特許請求の範囲【請求項1】に記載のあった「シリコーンゴム」と「カ ップリング剤で表面処理を施した熱伝導性無機フィラー」の各配合量を 指すものと解するのが自然であるし,このことは,本件拒絶理由通知に おいて,「全ての配合量について同等の効果を奏するものとは認められ ない」と指摘されていることからも窺える。
そうすると,かかる拒絶理由通知に対する応答としてなされた本件補 正によって加えられた構成要件Bは,「熱伝導性シリコーンゴム組成物 全量」に対して,「カップリング剤で表面処理を施した熱伝導性無機フ ィラー」の配合量を定めたものと解するのが自然であり,このことは, 本件意見書において「『熱伝導性無機フィラーが熱伝導性シリコーンゴ ム組成物全量に対して40vol%〜80vol%』である点で限定されてい るので,請求項1に係る発明は明確になった」と述べられていることと も符合する。
(イ) この点,原告は,本件補正においてカップリング処理を施した熱伝導 性無機フィラーの配合量を規定しようと意図したのであれば,本件特許 発明1のようには記載しないと主張するが,特許請求の範囲をどのよう に記載するかについては,その具体的表現に相当の幅があるのであり, 本件においても,カップリング処理を施した熱伝導性無機フィラーの配 合量を規定する場合に,本件明細書の特許発明の範囲のような記載には 論理的になり得ないとまではいえない。
また,原告は,当初明細書の段落【0012】の「40vol%〜80v - 57 - ol%」という数値範囲が指すものは熱伝導性無機フィラー自体の配合量 であると主張するが,同段落は本件明細書の段落【0015】とほぼ同 じであり,同段落の「熱伝導性無機フィラー」がカップリング処理を施 した熱伝導性無機フィラーを指すと解するのが自然であることは前記 (2)イで説示したとおりである。
さらに,原告は本件意見書における記載をもって,本件補正の目的が 熱伝導性無機フィラー自体の配合量を規定することにあったと主張する が,原告が指摘する記載は本件明細書の段落【0055】と同じ内容で あり,この記載も熱伝導性無機フィラー全量をカップリング処理するこ とを前提としていると解されることは,前記(2)エで説示したとおりで ある。
以上からすると,本件補(ウ) 正における原告の主観的意図はともかく,少 なくとも構成要件Bを加えた本件補正を外形的に見れば,カップリング 処理された熱伝導性無機フィラーの体積分率を限定したものと解するの が相当であり,自らかかる補正をしておきながら,後になってこれと異 なる主張をすることは,本件補正の外形を信用した第三者の法的安定性 を害するものであり,禁反言の法理に抵触し許されないというべきであ る。
(4) 本件カップリング剤込みの量と解すると不合理であるとの主張について 構成要件Bの「熱伝導性無機フィラー」につき,原告はカップリング処理 済みの熱伝導性無機フィラーの配合量(本件カップリング剤込みの量)と解 すると不合理が生じると主張するのに対し,被告は本件カップリング剤込み の量であると主張するので,以下検討する。
ア本件明細書の記載 証拠(甲2,3)によれば,本件明細書の発明の詳細な説明には,以下 の記載があることが認められる。
- 58 - (ア) 段落【0003】 「従来このような放熱シート3のための材料として,柔軟性を持ったゴ ムシート,両面に接着剤をコーティングしたテープ,あるいは接着剤や グリース等のような形態のものが用いられており,いずれの形態のもの においても熱伝導性フィラーをマトリックス樹脂に混合分散することが 行なわれている。
この場合マトリックス樹脂としては,耐熱性,耐寒性 に優れ,広い温度範囲で良好な圧縮復元性を有するシリコーンゴムが用 いられることが多く,また熱伝導性フィラーとしては,アルミナ,酸化 マグネシウム,窒化ホウ素等の高熱伝導性の無機フィラーを用いるもの であり,この熱伝導性無機フィラーをマトリックス樹脂に高充填量で混 合分散することによって得られる熱伝導性シリコーンゴム組成物を加熱 成形して放熱シート3を形成することが行なわれている。
ここで,熱伝 導性フィラーは放熱シート3の熱抵抗をできる限り低減するために用い られるものであり,電子機器の小型化,放熱器5の小型化,更には電子 部品4の発熱量の増加の傾向に伴い,電子部品4から発生した熱をでき る限り効率よく放熱器5から放熱させようとするものである。
」 (イ) 段落【0004】 「【発明が解決しようとする課題】しかし熱伝導率を上昇させるために 単にシリコーンゴムに対する熱伝導性無機フィラー充填量を増加させる と,熱伝導性シリコーンゴム組成物の成形スラリー粘度が上昇し,成形 加工性が低下したり,成形したシートの硬度が高硬度化することになる。
このように放熱シート3が高硬度化すると,電子部品4や放熱器5の接 合面の微妙なうねりや反りに対しての追随性が低下し,放熱器5と電子 部品4との間の空隙7を充分に埋めることができないという問題が発生 する。
またこのような高硬度の放熱シート3を微妙なうねりや反りに追 随させようとすると,電子部品4と放熱シート3の間にかなりの荷重を - 59 - 掛ける必要があり,電子部品4に対して大きなダメージを与える恐れが ある。
」 イ検討 上記段落【0003】には「熱伝導性フィラーは放熱シート3の熱抵抗 をできる限り低減するために用いられるもの」と記載されており,段落 【0004】には「熱伝導率を上昇させるために単にシリコーンゴムに対 する熱伝導性無機フィラー充填量を増加させると」と記載されていること からすれば,本件明細書上,熱伝導率を高める役割を果たすものは熱伝導 性無機フィラーであって,本件カップリング剤が熱伝導率そのものに影響 を与えることを窺わせる記載は認められない。
また,段落【0015】 (前記(2)ア(エ))には,数値限定の意義について,「40vol%に満 たないと高い熱伝導率を得ることが困難であり」と記載されていることか らすると,40vol%以上でなければならないものは,あくまで熱伝導率 に影響を与える熱伝導性無機フィラーそのものの量であって,本件カップ リング剤込みの量ではないと解するのが相当である。
他方,上記段落【0004】には,「熱伝導率を上昇させるために単に シリコーンゴムに対する熱伝導性無機フィラー充填量を増加させると,熱 伝導性シリコーンゴム組成物の成形スラリー粘度が上昇し,成形加工性が 低下したり,成形したシートの硬度が高硬度化することになる」と記載さ れており,成形した放熱シートの硬度が高硬度化する要因は熱伝導性無機 フィラーにあり,本件明細書上,本件カップリング剤そのものが高硬度化 に影響を与えていることを窺わせる記載はない。
また,段落【0015】 には,数値限定の意義について,「80vol%を超えると熱伝導性シリコ ーンゴム組成物の硬化成形物がさらに硬く脆くなる恐れがあって好ましく ない」と記載されていることからすると,80vol%以下でなければなら ないものは,高硬度化に影響を与える熱伝導性無機フィラーそのものの量 - 60 - であって,本件カップリング剤込みの量ではないと解するのが相当である。
このように,構成要件Bの「熱伝導性無機フィラー」は,本件カップリ ング剤を含まないものと解するのが相当である。
もっとも,そうであるか らといって,構成要件Bの「熱伝導性無機フィラー」が構成要件Aのカッ プリング処理を施した熱伝導性無機フィラーを指すとの前記(2)の判断を 左右するものではない。
なぜなら,熱伝導性無機フィラーと本件カップリ ング剤とはもともと別の成分であるし,段落【0019】,【0022】 及び【0023】において熱伝導性シリコーンゴム組成物を形成する方法 として紹介されているインテグラルブレンド法においては,熱伝導性無機 フィラーをシリコーンゴムに充填する前にカップリング処理を施すのでは なく,シリコーンゴム中に熱伝導性無機フィラーを混練する際に本件カッ プリング剤を同時に配合するのであるから,特にこのような方法において は,熱伝導性無機フィラーと本件カップリング剤とを熱伝導性シリコーン ゴムを組成する別の成分として捉えるのが通常と考えられるからである。
以上のように,構成要件Bの「熱伝導性無機フィラー」に本件カップリ ング剤込みの量と解することはできないという原告の主張は採用できるが, 同「熱伝導性無機フィラー」がカップリング処理されていないものも含む という原告の主張を裏付けることにはならない。
(5) 小括 以上のとおり,上記特許請求の範囲の記載及び同発明の詳細な説明の記載 並びに出願経過からすれば,構成要件Bにおける「熱伝導性無機フィラー」 は構成要件Aの熱伝導性無機フィラーと同じもの,すなわちカップリング処 理を施した熱伝導性無機フィラー(ただし,その体積分率の算定に当たって は本件カップリング剤を含まない量を基準とする。
)と解するのが相当であ る。
なお,本件明細書ではカップリング処理された熱伝導性無機フィラーと 未処理のものとを混合使用することについて許容も禁止もされていないから, - 61 - 未処理の熱伝導性無機フィラーを加えたからといって,直ちに本件各特許発 明の技術的範囲に含まれなくなるという訳ではなく,あくまで,カップリン グ処理された熱伝導性無機フィラーの体積分率が構成要件Bの範囲内にある か否かによって判断することになる。
そして,上記解釈によれば,被告製品のうち組成について争いのないGR −b等については,別紙被告製品の組成の「カップリング剤処理フィラー」 の「フィラーのみ」欄に記載のとおり,カップリング処理した熱伝導性無機 フィラーの体積分率が「40vol%〜80vol%」の範囲に含まれないから, いずれも構成要件Bを充たさない(均等侵害の成否については後記3で判断 する。
)。
〔24〕【特許第●●号(特許発明24,出願日平成4年4月30日)】 a 特許発明24の構成 特許請求の範囲請求項1の記載に従って分説すると,以下のとおり である。
過払い金で無料相談をするなら
借金生活に困っている方に朗報です。
過払い金ってご存知ですか?
今まで返済した借金が払い過ぎのため、戻ってくる制度のことです。
なんだか腹が立つような嬉しいような感じですね。
人に依りますが、払い過ぎた分に関して利子も付くので数百万も返ってくる方も。
いきなりお金持ち気分になりますね。
過払い金をゲットして、ちょっとでも借金生活の足しに。
貴女の人生を取り戻すチャンスです。
債務整理をして借金を返済する
切実な借金問題を抱えている方、不況の今はとても多いですよね。
子が親を殺したり、お金の問題は人生で切実なことです。
そうなる前に債務整理をきちんとして借金を返済することが重要です。
プロによる債務整理を希望なら「借金返済・債務整理ドットコム」
確実な法律事務所の情報が満載です。
サイトでは無料法律相談も受け付けているので、利用しない手はありませんね。
あなたの人生を精一杯サポートしたいから・・・
是非一度チェックしてみて下さいね。
本件
拒絶
理由